日本IPO市場は衰退していない!グロース「選抜化」とインドアニメ2兆円市場の投資機会【2026年6月25日放送】

「IPOが減っている」「グロース市場が厳しい」——そんな声が聞こえてくる2026年の日本株式市場。

ヴェストラ

しかし本当に衰退しているのでしょうか。

前半はフィリップ証券取締役常務執行役員・脇本源一氏が、数字の裏に隠れた「役割分担」という真実を解説。グロース市場の選抜化と東京プロマーケット(TPM)の台頭という構造変化を、現場の目線から鮮明に描き出します。後半はエコノミスト・門倉貴史氏が、海外売上高2兆1,702億円に達した日本アニメ産業の成長と、14億人市場インドでの爆発的な浸透を投資機会として解説。

「巨人の星がクリケットになった」というローカライズ戦略の実態まで、聴き応え十分の30分です。

🎙 番組概要

番組名:投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」
放送日:2026年6月25日(木)
提供:フィリップ証券(ユアパートナー・イン・ファイナンス)
パーソナリティ:浜田 節子 氏
コメンテーター
前半:脇本 源一 氏(フィリップ証券 取締役常務執行役員 投資銀行本部長)
後半:門倉 貴史 氏(エコノミスト/BRICs経済研究所 代表)


目次

前半テーマ:日本のIPO市場は本当に衰退しているのか

数字だけ見ると「4割減」——でも本質は違う

2026年上半期の東証グロース市場の新規上場は11社。前年同期の18社から4割減という数字が独り歩きし、「IPO市場は元気がなくなった」という見方が広がっています。

しかし脇本氏はこの見方を明確に否定しました。

浜田:数字だけ見ると、ちょっと元気なくなってるかなとも感じますが。

脇本:私は当然違う見方をしております。IPO市場は衰退しているというより、役割分担が始まっているんだ、そんなふうに思っています。

「役割分担」——このキーワードが今回の解説全体を貫くテーマです。

グロース市場は「育成市場」から「選抜市場」へ

グロース市場で何が変わったのか。脇本氏は「雰囲気だけで上場できる時代の終焉」と表現しました。

脇本:以前は、いわゆる流行りのDXとかSaaSとか、AI やってますというだけで注目されて上場したりするんですね。もちろん非常に重要な分野なんですが、やっぱり売上や利益に本当につながっているのかという部分まで厳しく見られるようになっています。

そして重要なのは、この選別が「市場(投資家)」よりも手前の段階で起きているという点です。

脇本:実はね、上場前に最初に選別をしているのはマーケットではなくて主幹事証券なんです。主幹事が最近かなり慎重です。IPOというのは、証券会社が良いと思うだけでは成立しないんですね。投資家が買いたいと思うから成立するわけです。

📌 用語解説:主幹事証券とは
IPO(新規株式公開)の際に、上場する企業の株式を投資家に販売する中心的な役割を担う証券会社のこと。上場審査のサポート、株式の引受・販売、公募価格の決定など、IPO全体をコーディネートする。主幹事の審査が通らなければ上場プロセス自体が進まないため、事実上の「入り口の番人」として機能する。

では投資家が「買いたい」と思う会社の条件とは何か。脇本氏はこう整理しました。

脇本:成長ストーリーが見える会社だったり、ターゲットとする市場規模が大きい会社、話題性のある会社、そういった会社はやっぱり人気になるんですね。なので最近は、上場ができる会社というより、投資家に支持される会社というのを証券会社も強く選ぶようになってきています。

グロース市場はその名の通り「成長企業の市場」でしたが、現在は「選ばれた成長企業だけが上場できる選抜市場」へと質的に変化しているというわけです。

📌 過去放送との文脈リンク
2026年4月2日放送(脇本源一氏)では「社長交代がもたらす株価への影響——決算以上のIRであること」が解説されました。今回の「投資家が支持する会社の条件」という解説と合わせて読むと、「IRの質が企業評価を決める」という一貫した視点が見えてきます。上場前の段階から「投資家目線で語れる会社かどうか」が問われているということは、上場後の株価形成にも同じロジックが働くということです。

東京プロマーケット(TPM)は「企業版の自動車教習所」

グロース市場の新規上場が11社に対して、今年上半期のTPM(東京プロマーケット)新規上場は24社

ヴェストラ

グロースの2倍以上です。

しかもTPMの上場数は2020年以降、21社→32社→50社と急成長しており、今や「定着した市場」になっています。

浜田:TPMは具体的にどのような役割を担っているんでしょうか。

脇本:私はTPMはですね、信用を作る市場だと思っています。昔は未上場企業がいきなり一般市場への上場を目指してきたわけですね。ただ今はTPMにまず上場する。そこでコーポレートガバナンスや内部統制を整えて、情報の開示を学んで、上場企業としての信用を獲得して成長していく、そんな役割だと思っています。

この役割を脇本氏はユニークな比喩で表現しました。

脇本:TPMは企業版の自動車教習所だと言うとわかりやすいかもしれないです。まず場内で基本を学んで、路上教習に行って、高速道路に進む。TPMもそんな感じで、上場企業としての基礎を学んで、信用を獲得して、その後一般市場へ進んでいく。

📌 用語解説:東京プロマーケット(TPM)とは
東京証券取引所が運営する、プロの投資家(特定投資家)のみが参加できる市場。一般市場(プライム・スタンダード・グロース)と比べて上場要件が緩やかなため、成長途上の中小企業が「上場企業としての経験を積む場」として活用されている。一般の個人投資家は直接取引できないが、上場企業としての信用獲得・情報開示の習慣化という観点で、企業にとって大きな意義がある。

グロース市場とTPMを対比すると、役割の違いが明確です。

市場主な役割投資家の判断基準上場の難易度
グロース市場選抜市場投資家が「買いたいか」高まっている
TPM育成・信用形成市場「信用できる会社か」相対的に参入しやすい

ただし脇本氏は重要な注意点も付け加えました。

脇本:TPMについては急に上場廃止になる企業もあったりするので、そこはちょっと気をつけていただきたいなというふうに思います。

「育成市場」である以上、すべての企業が一般市場へのステップアップを果たすわけではありません。TPM上場企業への投資には、通常以上の企業精査が必要です。

📌 投資視点まとめ

  • グロース市場の新規上場減少は「衰退」ではなく「質の向上」と読み替えられる
  • 主幹事証券が「投資家が買いたい会社か」を事前に選別する構造が定着
  • 成長ストーリー・市場規模・話題性の三拍子が揃う会社がIPO候補として浮上しやすい
  • TPMは「信用形成の場」であり、一般市場へのステップアップを見据えた投資機会が存在
  • ただしTPMの上場廃止リスクは一般市場より高く、個別企業の精査が必須

フィリップ証券からのお知らせ

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当社が取り扱う商品等には、価格変動等により元本損失・元本超過損が生じるおそれがあります。投資にあたっては、契約締結前交付書面等を必ずお読みください。フィリップ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第127号


後半テーマ:インドで日本アニメが大ブーム——2兆円産業の次の成長市場

日本アニメの海外売上高が国内を逆転——2兆1,702億円の現実

「アニメは日本のコンテンツ産業の主力輸出品」という認識は広がっていますが、その規模を正確に把握している方は少ないかもしれません。

門倉氏が示したデータはインパクト大です。日本アニメの海外売上高は2015年頃から急成長を始め、2023年には海外売上高が国内売上高を逆転。2024年時点で海外売上高は2兆1,702億円に達しています。

そして今、この巨大市場の中で最も成長率が高いのがインドです。

門倉:人口が14億人を超えるインドには、アニメのファンが日本の総人口に匹敵する1.2億人もいると推計されています。そして、このインドのアニメファンに圧倒的な支持を得ているのが日本のアニメということです。

コロナ禍が火をつけた——インド若者とアニメの出会い

日本のアニメがインドに初めて紹介されたのは1990年代後半〜2000年代初頭。ドラゴンボールZ・ポケットモンスター・ドラえもんが先行世代の「原体験」となりました。

そして近年の爆発的な若者人気には、コロナ禍が決定的な役割を果たしました。

門倉:コロナ禍のロックダウンや外出制限によって自宅に留まる機会が増えたことで、NetflixやYouTubeといった配信プラットフォームを通じて、日本のアニメがインドの若者の日常にどんどん浸透していくようになりました。

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認知度データも驚きの数字です。

博報堂が実施した調査によると、ポケットモンスターを知っているインド人は59%、ドラえもん55.1%、クレヨンしんちゃん49%、ナルト45.7%。インドの人口を考えると、これらの数字が示す絶対数は天文学的です。

さらに2025年には、インド最大級のアニメーションアワード「ANNアワード2025」でクレヨンしんちゃんが最優秀外国語長編アニメーション映画賞最優秀ライセンスキャラクター賞を同時受賞するという快挙を達成しています。

「巨人の星」がクリケットになった——ローカライズ戦略の本質

インドへの浸透を加速させた重要な戦略が「ローカライズ」です。その象徴的な事例が2012年から放送された日印共同制作アニメ「スーラジ ザ・ライジングスター」です。

門倉:これは巨人の星をローカライズしたものなんです。

貧しい家庭の少年が父の厳格な特訓を受けてライバルとの戦いに明け暮れてスターダムにのし上がっていくというサクセスストーリーは原作とほぼ同じです。

ただ、主人公が取り組むスポーツが野球からクリケットに変更されています。

それから主人公は星飛雄馬という名前の日本の少年がオリジナルでしたが、インド版ではヒンディー語で太陽を意味するスラジというインドの少年に変更されています。

「物語の構造はそのままに、文化的文脈を現地化する」——このローカライズ戦略は、言語の多様性という側面でも徹底されています。インドは多言語国家であり、ヒンディー語・ベンガル語・タミール語など多数の言語が存在します。各地域の言語に合わせた細かい吹き替えが、アニメの普及を後押ししました。

📌 用語解説:IP(知的財産)ライセンスビジネスとは
アニメキャラクターや作品世界観などの知的財産(IP)を他企業に使用許諾し、ロイヤルティ(使用料)を受け取るビジネスモデル。グッズ販売・ゲーム・テーマパーク・食品コラボ等への展開が典型例。一度人気IPを確立すると、制作コストをかけずに継続的な収益が入るストックビジネス的な性質を持つ。アニメが「他産業への波及効果が大きい」と言われる最大の理由がここにある。

アニメが起点になる「波及ビジネス」の広がり

門倉氏が最後に強調したのが、アニメの「他産業への波及効果」です。

門倉:アニメの人気キャラクターと商品のコラボレーション企画を実施すれば、キャラクターが好きだからこの商品を買うという流れを作ることができます。また、アニメのキャラクターが日本の商品を使うシーンを散りばめることによって、日本の商品の高い宣伝効果も期待できます。キャラクターのライセンス契約も妙味がありそうですよね。

アニメをきっかけに「日本のもの」全般への関心が高まるというインバウンド的な波及効果も含め、14億人市場での日本アニメ浸透は、コンテンツ産業にとどまらない巨大な経済的インパクトをはらんでいます。

📌 過去放送との文脈リンク
2026年4月30日放送(門倉貴史氏)では「国内市場の頭打ちを背景に海外へ打って出る日本式カレー(ココイチ・ゴーゴーカレー)のグローバルブランド戦略」が紹介されました。今回のアニメのインド展開も本質は同じ構造です。「国内で確立したコンテンツ・食文化・ブランドを、現地化(ローカライズ)しながらグローバルで展開する」という日本企業の成長戦略が、複数の産業分野で同時進行しています。この流れは、日本の消費関連・コンテンツ関連銘柄を長期で見る上で重要な視点です。

📌 投資視点まとめ

  • 日本アニメの海外売上は2兆1,702億円(2024年)、国内を逆転済み
  • インドのアニメファンは推計1.2億人——日本の総人口規模の潜在市場
  • ローカライズ(現地化)戦略がインド浸透の鍵、言語対応も徹底
  • アニメIPはグッズ・ゲーム・食品コラボ等への波及効果が大きい「ストックビジネス」
  • クレヨンしんちゃん・ドラえもん等のキャラクターライセンスを持つ企業に注目
  • コンテンツ×インド×ローカライズという交差点は長期投資の有望テーマ

まとめ:「構造変化を読む目」が今の市場で最も重要なスキル

前半のIPO市場解説と後半のアニメ産業解説。今回の二つのテーマに共通するのは「表面的な数字に惑わされず、構造変化の本質を読む」という視点です。

ヴェストラ

IPO件数の減少は衰退ではなく「質への転換」。

グロース市場の件数が減る一方でTPMが急成長しているという事実は、新規上場という出口の「役割分担」が進んでいることを示しています。

アニメ産業の海外売上2兆円は、単なるコンテンツビジネスの話ではありません。ローカライズ戦略でインドに根を張り、14億人市場でのキャラクターIP展開が本格化するこれからが「本番」です。

「表面の数字ではなく、構造と方向性を見る」——SpaceXへの400兆円評価(先週放送)も、金の50年150倍上昇(先々週放送)も、今回のIPO・アニメ解説も、すべてこの視点で一本につながります。

「投資がわかると意識が変わる。意識が変わると世界が変わる。」

これほどまでに激動し、予測不可能な相場環境において、フィリップ証券の誇る高機能プラットフォーム「MT5」による自動売買(EA)を活用し、システムに冷静な取引を任せるのが、これからの「投資の旅(ジャーニー)」をサバイブする鉄則です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 東京プロマーケット(TPM)の株は個人投資家でも買えますか?
A. TPMはプロの投資家(特定投資家)のみが参加できる市場のため、一般の個人投資家は直接取引することができません。ただし、TPM上場企業がその後グロース市場等へ一般上場した場合には、通常の手順で購入可能になります。

Q2. グロース市場の投資環境はこれからどうなりますか?
A. 脇本氏の解説によれば、「投資家に支持される会社のみが上場できる選抜市場」への転換が進んでいます。件数は減っても質が上がるという方向性であれば、むしろグロース市場全体の信頼性向上につながる可能性があります。銘柄選別の目利き力がより重要になる局面です。

Q3. 日本のアニメ産業に投資するにはどうすればいいですか?
A. 直接的には、アニメ制作・配信・キャラクターIP保有企業の株式投資が考えられます。例えば東映アニメーション・バンダイナムコホールディングス・カドカワ・東宝などがアニメ関連の主要上場企業です。また、インド市場への展開を戦略的に進めている企業を個別に精査する方法もあります。

Q4. IPO投資で注意すべきことは何ですか?
A. 脇本氏が指摘する通り、「投資家が買いたいと思うか」という基準で主幹事証券が選別する時代になっています。上場直後は人気銘柄で値上がりする一方、公募価格を下回るケースも多くあります。成長ストーリー・市場規模・収益化の道筋を自分でも検証した上で判断することが重要です。

Q5. フィリップ証券でIPO株に投資できますか?
A. フィリップ証券は上場支援(主幹事・副幹事業務)も手がける証券会社です。IPO株の取り扱いについては、公式サイトまたは営業スタッフへお問い合わせください。


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