SpaceX上場から学ぶ「未来への投資」と金4,000ドル時代の買い方【2026年6月18日放送】

2026年6月、金融市場に二つの大きなテーマが同時に動いています。

一つは史上最大のIPOとして話題を集めたSpaceXのナスダック上場。時価総額400兆円超、トヨタ自動車の約10倍という評価額の背景に何があるのか。

もう一つは、5,500ドル台のバブル的高騰から4,000ドル台へ急落した金(ゴールド)相場の行方。「安全資産なのになぜ下がるのか」という根本的な疑問に、現場のプロが明快に答えます。

前半はフィリップ証券代表取締役社長・永堀真氏がSpaceXとイーロン・マスクのビジョンを経営者目線で解説。後半は日本貴金属マーケット協会代表理事・池水雄一氏が金市場の実態と長期投資の本質を語ります。

🎙 番組概要

番組名:投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」
放送日:2026年6月18日(木)
提供:フィリップ証券(ユアパートナー・イン・ファイナンス)
パーソナリティ:浜田 節子 氏
コメンテーター
前半:永堀 真 氏(フィリップ証券 代表取締役社長)
後半:池水 雄一 氏(日本貴金属マーケット協会 代表理事)


目次

前半テーマ:SpaceX上場が示す「未来の価値」への投資とは

SpaceXのIPOが史上最大になった理由

先週金曜日、SpaceXがナスダックへ上場しました。

IPO調達額は日本円で約13兆円、史上最大のIPOとして世界中の投資家の注目を集めました。上場後も株価は上昇を続け、現在の企業価値は400兆円超。これはトヨタ自動車の約10倍に相当します。

ところが、SpaceXの2025年の売上はたったの3兆円、利益は4,000億円の赤字です。

一方のトヨタは売上50兆円・利益3.8兆円の黒字。数字だけ見ると、なぜSpaceXがトヨタの10倍に評価されるのか——この一見矛盾した現実を、永堀社長はこう整理しました。

浜田:投資家はなぜここまで高く評価するのでしょうか?

永堀:多くの方はSpaceXというとロケット会社だよねと思う方もいらっしゃいます。

確かに彼らはファルコンというロケットを運用しています。

しかし、投資家はそれ自体を注目しているわけではなくて、事実、彼らの売り上げの約6割もスターリンクという衛星通信事業から生まれているんですね。

スターリンクの利用者は現在1,000万人と、今も世界中で拡大を続けています。

ロケットは一回売って売ったら終わりなわけなんですが、通信事業は毎月利用料が入ってくるストックビジネスです。

私たち証券業界で例えるならば、ロケットは単発の売買手数料、スターリンクは継続的な資産管理業の収入というほうが評価されるというのは正当な評価なのかなと思っています。

📌 用語解説:ストックビジネスとは
商品・サービスを一度販売して終わりではなく、毎月・毎年継続して収益が入る事業モデルのこと。サブスクリプション(定額課金)が典型例。ロケット打ち上げのような「一回売り切り」型(フロービジネス)と対比される。企業価値評価においてストックビジネスは収益の安定性・予測可能性が高いため、同じ売上規模でも高い評価を受けやすい。

投資家が見ているのは「宇宙版VISA」になれるか

永堀社長が語った最も興味深い視点が「宇宙版NTTではなく、宇宙版VISAになれるか」というフレームです。

永堀:これは通信サービスだけを見ているのではなくて、スターリンクを通じて発生する取引やデータ、こういったものの集積に注目しているということです

。世界中の通信データがSpaceXのネットワークを通る未来にかけているということだと思います。

VISAはクレジットカードの「インフラ」として世界中の決済を仲介し、莫大なネットワーク効果を享受しています。SpaceXは宇宙通信という「インフラ」を通じて同様の地位を狙っているというわけです。さらに、イーロン・マスクのAI企業であるxAIとの統合も進んでおり、「ロケット×衛星通信×AI」を一つのグループで保有するという構想も明かされました。

永堀:20世紀は石油が世界を支配したと言われています。21世紀、今はデータが世界を支配しています。SpaceXは宇宙経由でデータを集めて、通信とAIを利用するインフラ企業になろうとしているということです。火星はまだまだ遠い未来だと思いますが、通信とAIは現在進行形だということだと思いますね。

📌 過去放送との文脈リンク
2026年6月11日放送(三角友幸氏)では、OpenAI・SpaceX・AnthropicのIPOとナスダック100への早期採用シナリオが解説されました。「ナスダック100採用のボーダーラインは時価総額約1,300億ドル台、上場後最短15営業日での採用が可能」という内容でしたが、今回の永堀社長の解説はその「なぜSpaceXがそこまで評価されるのか」という根拠を補完する内容です。数字の背景にある「ビジョンと現実的収益の両立」という構造を理解すると、IPO後の株価動向の見通しがより立てやすくなります。

イーロン・マスクから学ぶ「第1原理思考」と投資の本質

永堀社長は、SpaceXの成功要因としてイーロン・マスクの「第1原理思考」を挙げました。

永堀:これは過去の慣習や常識を疑って、本質からゼロから考えるということなんですね。

宇宙ロケットは燃料タンクを使い捨てにするのが当たり前でした。

ヴェストラ

しかしマスクは考えたわけです。

飛行機はそのまま飛び立ったらそのままの形で帰ってくるのに、なぜロケットは捨てるのかと。その結果生まれたのがファルコンです。ロケット発射に利用した筒が垂直に立ったまま地上に戻る。普通に考えると常軌を逸しています。何度も失敗して、一回の失敗で数十億円のお金を失い続けた。でも最終的に成功して、一説にはコストが4分の1になったと言われています。

さらに、永堀社長が「経営者としてSpaceXから学ぶべき最大の点」として挙げたのが「壮大なビジョンと現実的な収益源の両立」です。

永堀:多くの経営者は夢だけ語る、あるいは目先の利益だけを追う。どちらかに偏る方が多いです。SpaceXは火星移住という壮大なビジョンを掲げながら、スターリンクという現実的なキャッシュフローを作り上げている。夢と利益、理想と現実、この両方を同時に追求しているんです。これが成り立つから、結果として壮大なビジョンを追い続けることができる。

この「ビジョン×キャッシュフロー」の両立というフレームは、投資判断にも直接応用できます。

「大きな夢を語るが収益化の道筋が見えない企業」と「地道に稼ぎながら遠大なビジョンを実現していく企業」——どちらに長期資金が向かうべきかは明らかです。

📌 投資視点まとめ

  • 現在の売上・利益だけで企業を評価するのは「現在価値」の評価にすぎない
  • 「ストックビジネス化」「プラットフォーム化」「データ経済圏の形成」が企業評価を大きく押し上げる
  • SpaceXのロケット→スターリング→xAI統合という構造は「垂直統合型プラットフォーム戦略」の典型
  • 常識を前提にしない「第1原理思考」で既存業界の構造を見直す視点は、株式投資の銘柄発掘にも有効

フィリップ証券からのお知らせ

フィリップ証券では、ネット取引が苦手なお客様にも、営業スタッフによる対面でのお取引が可能です。日本株・米国株はもちろん、シンガポール株などアジア株式・外債・私募投資など幅広い金融商品を取り扱っています。資産運用だけでなく相続手続きなど、ライフステージに寄り添ったご提案も可能です。

当社が取り扱う商品等には、価格変動等により元本損失・元本超過損が生じるおそれがあります。投資にあたっては、契約締結前交付書面等を必ずお読みください。フィリップ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第127号


後半テーマ:金4,000ドル時代——「安全資産」の本当の意味と長期投資の作法

5,500ドルから4,000ドルへ——金バブルの実態

2026年1月、金(ゴールド)は1トロイオンス5,500ドル台まで上昇し、史上最高値を更新しました。しかし放送時点ではニューヨーク金先物8月物は4,290ドル台。約1,000ドルの急落です。

池水氏はこの高騰と急落をどう見ているのでしょうか。

池水:5,500っていうこと自体が、もうあまりにも上がり過ぎだったっていうのがありますよね。特に今年に入って5,000ドルを超えたところで、いっぺんにまた投資家がわっと入ってきた。5,000ドルから5,600ドル手前まで行ったんですけど、それってもう3日間の動きだったんですよ。3日間で10%、500ドル以上上がったっていう。これもしバブルと呼ぶものが何かあるとすれば、これは明らかにバブルです。

そしてこのバブル的急騰の背景には、「上がるから買う」という典型的な群衆心理がありました。

池水:去年、田中貴金属などの大手地金商の前に行列ができたわけですよ。毎日歴史的高値を更新していくところで、売りに来るんならなんとなくわかるんですが、みんな買いに来るんですね。高値をどんどん追っていく、そういうマーケットになってしまって。今はそこから4,000ドル台まで下がっているんですが、今すごく静かですね。あの頃はあれだけ必死になって買っていた人たちが、今シーンとしているんですよ。今買ったらいいじゃんって僕はほんとに思うんですけどね。

この「高値で騒いで、押し目で静かになる」という市場心理は、金に限らずすべての資産クラスで繰り返されるパターンです。

📌 過去放送との文脈リンク
2026年4月9日放送(石田和靖氏)では「有事なのになぜ金が売られ、ドルが買われたのか(換金売りと原油のドル決済需要)」が解説されました。今回の池水氏の解説は「金は安全資産だから下がらないという誤解」をより根本的に解きほぐすものです。「金は価値がゼロにならない」という本質的な意味での安全資産と、「短期的な価格変動が起きない」という誤った意味での安全資産の違いを、両回を通じて理解できます。

「安全資産なのになぜ下がるのか」——金投資の根本的な誤解を解く

多くの個人投資家が抱く「金は安全資産だから価格が安定しているはず」という誤解に、池水氏は明確な答えを示しました。

浜田:安全資産なのにどうして下がるんだ、という声がありますよね。

池水:それはちょっと安全資産の意味を取り違えているかなと思うんですよ。株と為替と全くマーケットの仕組みは同じなんですね。安全資産って動かないって意味でもないし、下がらないって意味でもないわけですよ。買いたい人が多いと上がるし、売りたい人が多いと下がる、これは当然のことです。

では「安全資産」とは何を意味するのか。

池水:価値が0にならない、紙切れにならないということです。

株だったらその会社が倒産したら株券は全く価値がなくなる。日本円も政府が破綻したら価値がなくなる。でもゴールドはそのものの価値で取引をしている。その価値を何ものにも頼っていない、いわゆる発行体のリスクがないんです。アメリカがどうなろうが、日本がどうなろうが、ゴールドはゴールドの価値がある。それが安全資産という意味だと思うんですね。

📌 用語解説:発行体リスクとは
株式・債券・通貨などの金融資産は、それを「発行する主体(企業・国家・中央銀行)」の信用力に価値が依存している。その発行体が破綻・信用失墜すると、資産価値が大幅に下落または消滅するリスクを「発行体リスク」と呼ぶ。金(ゴールド)は誰かが発行した証書ではなく「物そのもの」であるため、発行体リスクが存在しない唯一に近い資産クラスとされる。

過去50年で150倍——金の長期価値の本質

池水氏が長年金に投資し続ける根拠として示したのが、50年という長期スパンでのパフォーマンスです。

池水:過去50年で見ると、金の価値は150倍まで上がったわけですよ。これはゴールドが上がっているんじゃなくて、過去50年でドルの価値は150分の1になったわけです。購買力で考えると。各国政府がどんどんお金を刷って、財政出動・金融緩和でお金の量はジャブジャブに増えていく。お金の価値は下がっていく。だから短期的な動きはどうなるかは誰にもわからないけれど、長期的に見るとこの価値は上がっていくと思っています。

この視点は「金を投機的な短期売買の対象」として見るのではなく、「法定通貨の価値希薄化に対するヘッジ」として長期保有するという本質的な金投資の姿勢です。

実際、池水氏は「何十年も投資しているが、まだ一度も売ったことはない」と語りました。

この「ガチホ」という姿勢の背景には、短期的な価格変動に一喜一憂せず、通貨価値の長期的な趨勢を見据えた確信があります。

4,000ドル台は「買い場」なのか——プロの実践的な判断基準

では現在の4,000ドル台という水準を、池水氏はどう見ているのでしょうか。

池水:先週つけた4,000ドルギリチョンまで先週下がったんですけれども、あそこで恐らく私はボトム打ったんじゃないかなと思っています。

長期的には積み立てに任せていて、自分個人でスポット買うのは高値では手が出ないと思っています。でもこうやって下げてくると、逆にスポットを買いたくなってくる。私は4,300ドル割れの場面では積極的に買っていますね。

ここで示されたのは「高値追いはしない・下げたら積み増す」という一貫した投資行動の原則です。この原則は、金に限らずすべての長期資産投資に応用できる思想です。

また、金の長期的な価値を裏付ける数字として「世界の中央銀行の8割が5年後を見据えて金の保有を増やしている」というデータも紹介されました。個人投資家の思惑や短期的な価格変動に左右されず、国家レベルの資産運用機関が長期的に金を積み増しているという事実は、長期保有の根拠として重要なシグナルです。

📌 投資視点まとめ

  • 金の「安全資産」とは「値下がりしない」ではなく「価値がゼロにならない」という意味
  • 短期的な価格変動(5,500→4,000→4,300ドル)は長期的な上昇トレンドの中のノイズ
  • 高値で騒いで押し目で静かになる市場心理の逆を行くのがプロの基本姿勢
  • 法定通貨の量的緩和・価値希薄化が続く限り、金の長期的上昇トレンドは変わらない
  • 中央銀行の8割が5年後を見据えて金を積み増しているという事実は長期保有の重要な根拠

まとめ:「未来への投資」と「価値の本質」——今回の二大テーマを繋ぐ視点

前半のSpaceX解説と後半の金市場解説。一見バラバラに見える二つのテーマに、実は共通する投資の本質が流れています。

「現在の数字ではなく、本質的な価値を見る」

SpaceXへの400兆円評価は、現在の赤字企業に対する「未来のインフラとしての価値」への期待です。金の長期保有は、短期的な価格変動ではなく「法定通貨の希薄化に対するヘッジとしての本質的価値」への確信です。どちらも「目の前の数字に振り回されない、本質を見る目」が必要という点で一致しています。

また、イーロン・マスクの第1原理思考——「常識を前提にせず、本質からゼロで考える」という姿勢は、投資においても有効です。「金は安全資産だから下がらない」「黒字企業のほうが価値が高い」という思い込みを疑うことから、より深い投資判断が生まれます。

「投資がわかると意識が変わる。意識が変わると世界が変わる。」

これほどまでに激動し、予測不可能な相場環境において、フィリップ証券の誇る高機能プラットフォーム「MT5」による自動売買(EA)を活用し、システムに冷静な取引を任せるのが、これからの「投資の旅(ジャーニー)」をサバイブする鉄則です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. SpaceXの株は日本から投資できますか?
A. SpaceXはナスダック上場銘柄です。米国株を取り扱う証券口座があれば購入可能です。フィリップ証券でも米国株の取り扱いがあります。ただしIPO直後は値動きが激しい傾向があるため、リスク管理に注意が必要です。

Q2. 金(ゴールド)への投資方法にはどんな種類がありますか?
A. 主な方法として①金地金(現物)の購入、②純金積立、③金ETF(上場投資信託)、④金先物・CFD取引の四つがあります。少額から始めるなら純金積立やCFD、まとまった資金があるなら現物という使い分けが一般的です。フィリップ証券のMT5ではCFDとして金の取引が可能です。

Q3. 金は今からでも買い時ですか?
A. 池水氏は「4,300ドル割れの場面では積極的に買っている」と述べています。ただし、短期的な価格予測は誰にもできません。長期的な視点での積立投資と、下落時のスポット購入を組み合わせるアプローチが、プロが実践している基本スタイルです。

Q4. 「発行体リスクがない」という金の特性は実際にどう活かせますか?
A. 株・債券・通貨が同時に信用リスクにさらされる局面(金融危機・地政学的混乱など)においても、金は独立した価値を保ちやすい性質があります。ポートフォリオの一部(一般的には5〜15%程度)を金に配分することで、リスク分散効果が期待できます。

Q5. SpaceXのスターリンクは日本でも使えますか?
A. 現在、スターリンクは日本国内でも個人・法人向けサービスを提供しています。特に山間部・離島など光回線が届きにくいエリアでの利用が増えています。


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