投資がわかると意識がかわる!ファイナンシャル・ジャーニー要約(2026/01/29)AI時代の“メモリ争奪戦”とHDD復権

ラジオNIKKEIで放送されている投資情報番組「ファイナンシャル・ジャーニー」。

2026年1月29日放送回は、AIブームの主役がGPUだけではなく、「メモリ(DRAM/HBM)」や「ストレージ(HDD/SSD)」にまで波及している現実を、前半・後半で分けて掘り下げました。

前半はフィリップ証券リサーチ部の三角友幸さんが、AIの学習・推論がなぜメモリを食い尽くすのかを、机と書庫の例えで超わかりやすく解説。後半は経済アナリスト田嶋智太郎さんが、価格高騰が続くメモリ・ストレージの需給と、HDD復権の裏側、そして国内関連銘柄までつなげていきます。

「AI=NVIDIA」だけで止まっていると、投資の視界が狭くなる。そんな回でした。

🎙 番組概要
番組名:ファイナンシャル・ジャーニー
放送日時:2026年1月29日(木)8:30~8:49(ラジオNIKKEI第1)
提供:フィリップ証券
パーソナリティ:浜田節子
コメンテーター:田嶋智太郎(経済アナリスト)、三角友幸(フィリップ証券 リサーチ部)


目次

今回の放送テーマ

AI時代、「GPUの次」に来ているのはメモリとストレージ

浜田さんが冒頭で投げかけたのは、かなりストレートな疑問です。

「AIにデータが重要なのはわかる。でも、なぜ“メモリ需要”が予想を超えて増え続けているのか?」

ここから前半は、三角さんが“メモリとは何か”を、いきなり地に足のついた説明で整えていきます。


ヴェストラ

NVIDIAだけじゃない!

前半:三角友幸さんが解説「AIがメモリを食う本当の理由」

メモリとストレージは別物:机がメモリ、書庫がストレージ

まず強調されたのが、「メモリ」と「ストレージ」を混同しないこと。

番組で扱うメモリは、揮発性メモリ=DRAM(ダイナミックRAM)。電源を落とすと保持できない代わりに、読み書きがとにかく速い。

一方で、フラッシュメモリやSDカード、SSDは“不揮発性メモリ”に分類され、電源が落ちても記録を保持できる。役割としては保管庫で、速度よりも保存が本領です。

この違いを、三角さんはこう置き換えました。

メモリ=オフィスの作業机(すぐ手を伸ばせる)
ストレージ=キャビネット/書庫(大量に保管できる)

AI投資の話をするとき、ここが曖昧だと、銘柄の見立てがズレる。番組は最初にそこを正した、という印象です。

AI半導体の基本構造:GPU×高速メモリで“並列作業”する

AI半導体(GPU)は、並列処理が得意。単純作業を同時に走らせるような仕事に向く。

イメージは「大人数で大きな机を囲んで、同時に作業する」。

その“机の広さ・使いやすさ”に当たるのが高速メモリで、GPUの性能だけでなく、メモリがボトルネックになり得る――ここが前半の核になっていきます。


メモリ需要が膨らむ2大要因:学習と推論

学習:特徴量が増えるほど計算が爆増する「次元の呪い」

AIの学習は、文章・画像・動画などを取り込み、パターンや構造を見つける工程。ここでラベル付けして整理していくわけですが、その“ラベルの数”が特徴量(フィーチャー)。

三角さんは株式分析の例に寄せて説明します。

日本企業か米国企業か、時価総額、業種、売上、利益率、成長率…

分析軸が増えるほど、必要な計算資源が指数関数的に増える。これが「次元の呪い」。

たとえ話がリアルでした。

Excelで列を増やすほど、同時に扱うデータが増えて重くなる、あの感覚に近い。

AIはこの現象が、LLM(大規模言語モデル)の発展でさらに深刻になった、という整理です。

推論:KVキャッシュが積み上がるほど賢くなるが、メモリを使う

そして最近、より注目されているのが推論。

ユーザーが投げた過去の質問や要求(プロンプト)を参照しながら、直前の計算や類似結果を使って推論を重ねる。そこで登場するのが、キー・バリュー・キャッシュ(KVキャッシュ)。

推論は「長ければ長いほど良い」と言われる場面が増えた。

理由は単純で、推論を重ねるほどKVキャッシュが積み上がり、回答の精度や速度が上がるから。

ただし代償がある。

KVキャッシュを積むほど、メモリ使用量が増える。

つまり、計算速度とメモリ節約がトレードオフになっている。

ここで「GPUだけ見ていても足りない」という話が、説得力を持って立ち上がります。


HBMという“切り札”:メモリは「縦に積む」時代へ

ロジック半導体×メモリは“距離”が命:近づけるための先端パッケージ

メモリは、CPUやGPU(ロジック半導体)に比べて、微細化による性能向上が進みにくい。

だからこそ、単純に横に並べるのではなく、構造で勝負する。

番組で描かれたイメージは五重塔。

DRAMを縦に積み上げ、データ量を増やし、配線距離を短縮して高速化する。

この“積層して高性能化したメモリ”が、HBM(広帯域メモリ)です。

ここは投資家目線でも重要で、HBMは「どのAI半導体が主流になっても必要になり得る」と語られました。

GPUでも、TPUでも、ロジック半導体の近接に高速メモリを置く構造は共通しやすい。だからHBMの存在感が増す、という筋です。


ヴェストラ

HBM?初めて聞きました、、、

関連企業の見取り図:HBMは誰が握るのか

主要サプライヤー:SKハイニックス、マイクロン、そしてサムスン

三角さんの整理では、HBMは現時点でSKハイニックスとマイクロン中心という構図。

さらにサムスン電子も、認証の話や生産開始見込みが番組内で触れられ、供給側の動きが市場全体に影響する、といった流れでした。

ここでポイントになるのは、「HBMに寄せるほど、別用途のメモリ供給や価格にも波が立つ」という見方。

たとえばスマホ向けなど、他用途の供給や価格観測にまで連鎖し得る、という話が出ます。AIが“半導体の中の半導体”だけで完結しないことが、じわっと伝わる場面でした。

製造装置・検査:先端パッケージとテスト工程が熱い

チップレット/先端パッケージが重要になると、製造装置や検査工程にも資金が向かう。

番組内で名前が挙がったのは、装置でアプライドマテリアルズ、ラムリサーチ。
そして検査工程で存在感が語られたのがアドバンテスト(メモリテスト)。

三角さんは、決算の好調さにも触れつつ、HBM引き合いの強さが背景にあるのでは、という見立てを示しました。

「なぜこの銘柄が上がっているのか」を、サプライチェーンから理解する、番組の狙いが見えるパートです。

次世代の動き:HBMの“補完役”としての高速フラッシュ

さらに、ストレージをよりメモリに近づける次世代技術として、HBF(広帯域フラッシュメモリ)の話題も出ました。

ただし番組の結論は明快で、SSDは書き換え限度など寿命面の課題もあり、速度でもメモリに劣後する。完全代替ではなく、併用になっていくのではないか、という整理でした。

ここまでで前半は、「AI需要=GPU」から視点を一段引き上げ、「AI需要=計算+メモリ+周辺工程」へと地図を書き換えます。


ここで番組は一旦ブレイク:フィリップ証券CM(番組内案内)

出典:フィリップ証券

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後半:田嶋智太郎さんが解説「メモリ高騰の先にある“ストレージ覇権”」

2026年分の生産枠が埋まる? 需給逼迫で価格が急騰

後半は田嶋さんが、年始からのマーケットの“目まぐるしさ”に触れつつ、メモリ分野への注目が社会全体で高まっていると語ります。

まず話題に出たのが、揮発性メモリ(DRAM)とNAND型フラッシュメモリの価格急騰。

需給逼迫が背景で、メーカーが限られるため、生産が追いつかない。

番組では「2026年分の生産枠が埋まっている」といったニュアンスの説明もあり、供給制約が相当に強い絵が描かれました。

学習から推論へ:長期保存=ストレージ需要が伸びる

田嶋さんの視点はここから一段進みます。

推論が中心になるほど、過去に蓄積したデータを長期保存し、いつでも引き出せる状態が必要になる。

そのため、揮発性だけでなく“不揮発性”=ストレージ側の需要が拡大している。

そして注目されたのが、ニアライン(データセンター向け大容量)HDD。

クラウド事業者、いわゆるハイパースケーラーの引き合いが強く、フル稼働でも供給が追いつかない、という状況が語られました。

いまのデータセンターは「HDDが8割」:HDD復権が現実味

印象的だったのは、データセンターの保存構成の話。

番組内では、データの約8割がHDD、NAND(SSD)が約1割、残りが磁気テープ、という比率が紹介されました。

つまり現実として、最も大きな“保存の器”はHDD。

AIの推論が進めば進むほど、ストレージの総量が必要になり、GB単価で優位なHDDの立場が強くなる――この整理が、後半の背骨です。


ヴェストラ

HDDが注目されてるのは、久しぶり!

HDD大容量化の切り札「HAMR」:国内銘柄にどうつながる?

HAMR(熱アシスト磁気記録)が大容量化を加速する

HDDをさらに大容量化していく鍵として登場したのがHAMR(Heat-Assisted Magnetic Recording)。

ディスクを局所的に加熱し、記録密度を高める技術で、大容量化の切り札とされる。

番組では、シーゲートがHAMR採用HDDを市場投入している流れにも触れ、SSDでは難しい大容量と容量単価を実現し得る、と語られました。

ここで重要なのは、「HDDは終わった」ではなく、AIがHDDを“必要なインフラ”として呼び戻している、という見立てです。

国内で注目された企業:TDK、日東電工、ニッパツ

田嶋さんは、国内でHAMR関連に絡む企業としてTDK(6762)に言及。

さらに部材・素材の文脈で、HDD向け回路基板で高シェアを持つ日東電工(6988)、HDD用サスペンションでニッパツ(5991)などが紹介されました。

ここは「国内にも関連プレイヤーがある」と示したパートで、AIバブルの中心が米国巨大テックだけではない、という投資ヒントになっています。


投資のヒント:今回の放送を“銘柄選び”に落とすなら

ヒント1:AIは「GPU」から「メモリ/周辺工程」へ波及している

番組全体を通して、AIの成長がGPU単体では完結せず、メモリ(DRAM/HBM)や検査工程、先端パッケージに波及している構図が繰り返し語られました。

テーマ投資でありがちな「主役銘柄だけ買って満足」を避けるなら、周辺のボトルネックに注目する。これはかなり実用的です。

ヒント2:「推論の時代」はストレージ需要の拡大と相性がいい

学習中心から推論中心へ。

この変化は、計算だけでなく“保存”を爆発させる。

だからHDDやニアライン需要が強い、という田嶋さんの整理は、AIテーマの次の段階を読むヒントになります。

ヒント3:需給逼迫はチャンスと同時にリスクでもある

供給が追いつかない局面は、価格上昇と利益拡大を生みやすい一方で、増産・技術転換・採用基準(認証)などのニュースで風向きも変わりやすい。

番組は個別銘柄の売買を煽るというより、「なぜ上がっているのか」を需給と技術で説明してくれる回でした。投資判断は、その地図を持った上で自分の時間軸に合わせるのが良さそうです。


まとめ:今週の要点整理

・AIは学習と推論の両方でメモリを大量に使う
・推論ではKVキャッシュが積み上がり、精度と速度が上がるがメモリを食う
・HBMは先端パッケージで“縦に積む”ことで高速化し、AI半導体の近くに置かれる
・メモリだけでなく、装置・検査工程にも注目が集まる構図がある
・推論の拡大は、長期保存=ストレージ需要を押し上げ、ニアラインHDDが再注目される
・HAMRなどHDD大容量化技術と、その国内関連企業にも目線が広がる


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