2026年4月末、ついに恐れていた事態が起きました。
ドル円相場が心理的節目である160円を突破し、直後に猛烈な円高方向への「為替介入(実弾介入)」が実施されたのです。
なぜこのタイミングで介入が行われたのか?そして、乱高下する相場の裏側で、プロのディーラーたちはどのような戦いを繰り広げていたのか?
2026年4月30日に放送されたラジオNIKKEI「ファイナンシャル・ジャーニー」では、フィリップ証券オンライン事業本部マルチプロダクツ部長の工藤正武氏と、アセンダント取締役であり元為替ディーラーの山中康司氏をスタジオにお迎えし、「為替介入の舞台裏」と「今後のドル円相場の行方」について徹底解剖しました。
1985年のプラザ合意時代から介入を知り尽くす山中氏の貴重な裏話や、来週に控える「米財務長官の緊急訪日」がもたらすサプライズの可能性など、投資家必見のインサイダー情報が満載です。
激動の為替相場を生き抜くための羅針盤となる本番組の要点を、わかりやすく深掘りして要約します!
🎙 番組概要
番組名:投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」
放送日:2026年4月30日(木)
提供:フィリップ証券(ユアパートナー・イン・ファイナンス)
パーソナリティ:浜田 節子 氏
コメンテーター:
前半:工藤 正武 氏(フィリップ証券株式会社 オンライン事業本部 マルチプロダクツ部長)
後半:山中 康司 氏(株式会社アセンダント 取締役)

「わかる、かわる」をキーワードに、まるで世界を旅するようにマーケット全体の動向、アジア・アメリカを中心とする国際情勢、様々な金融商品の特徴まで、その日の取引に役立つ幅広い情報を、各分野の専門家が解りやすく解説します。
投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」2026.4.30放送
パーソナリティは浜田節子
コメンテーターは田嶋 智太郎氏(経済アナリスト)、三角 友幸氏(フィリップ証券 リサーチ部)

前半テーマ:160円突破と「予想外」の介入。プロの現場で何が起きていたか

番組前半は、フィリップ証券の工藤正武氏が、4月30日に行われた為替介入の「現場のリアル」を語りました。
「口先介入はあるが、実弾はない」という勝手な思い込み
浜田:昨日(4月30日)の19時頃、ドル円の為替介入がありましたね。工藤さんはどうご覧になりましたか?
工藤:実は私としては、160円を超えていたため「口先介入(警告)」は予想していましたが、「実際の為替介入(実弾)」は予想外でした。
なぜ工藤氏は実弾介入はないと予想していたのでしょうか。
先週は、日銀の金融政策決定会合とアメリカのFOMCが連続する「金融ウィーク」でした。
日銀は利上げを見送り、FRB(米連邦準備制度理事会)もインフレ懸念から3会合連続で利下げを見送りました。「日銀の利上げがなく、FRBの利下げ期待も後退したのだから、160円をつけても普通の反応だ(無理に抑え込むことはない)」と工藤氏は分析していたのです。
さらに、介入があった当日の夜にはイギリス中銀(BOE)と欧州中銀(ECB)の政策金利発表が控えており、「もし介入するにしても、それらの重要イベントが終わった後だろう」と勝手に思い込んでいたと語ります。
突然の155円台への急落。パニックに陥るカバー先の現場
ヴェストラしかし現実は違いました。
160円台後半から円安が進む中、片山財務大臣が「いよいよ断固たる措置をとるタイミングが近づいている」と強く牽制。三村財務官も「最後の退避勧告だ」と発言し、159円前半まで円高に振れました。
工藤:私はここで(口先介入だけで)終わりだなと考えて、他の事務処理をしていました。ところが午後8時頃、カバー先(証券会社が注文を取り次ぐ金融機関)から「建玉上限の70%以上になっている!」と警告が来たため、慌ててレートをチェックすると、なんと155円台まで円高が進んでいました。
これは実際の介入があったと確信した工藤氏は、資金の余っているカバー先へポジションを移動させるため、取引システムをバタバタと叩いて約定をチェックし続けるという、修羅場のような対応に追われたそうです。
なぜ介入は行われたのか?(長期金利と原油高の懸念)
浜田:実際、この日に為替介入が行われた根拠をどう見ていらっしゃいますか?
工藤:介入は「ドル円だけの理由」で行われたわけではないと考えています。
この日、日本の長期金利は一時2.53%まで上昇し、約30年ぶりの高水準をつけました。さらに原油相場(WTI)も100ドルを超えていました。
つまり、ドル円の円安だけでなく、金利上昇や原油高といった「日本国民の生活に直接悪影響を及ぼす状況」がすべて重なったため、国としてこれ以上放置できずに介入が断行されたのだと思います。
その後も5月1日、5月4日と、157円台後半に達するたびに155円台へと押し戻される(数円幅の急激な円高)動きが繰り返されており、工藤氏は「5月は再度気を引き締めて、素直に相場と向き合う必要がある」と警告しました。
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後半テーマ:プラザ合意を知る男が語る、為替介入の「国柄」と次なる警戒点


番組後半は、1985年のプラザ合意時代から為替ディーラーとして介入の最前線に立ってきた、アセンダントの山中康司氏を交え、介入の「裏側」と今後の行方について深掘りしました。
日本の介入は「銀行に損をさせない」律儀なスタイル
浜田:山中さんは今回の為替介入の動きをどう見ていらっしゃいますか。
山中:起こるべくして起きたという感じです。
3月末に三村財務官が「そろそろ断固たる措置も必要」と発言した時点で、160円台後半は警戒ゾーンでした。そして今回、「最後の退避勧告」という強烈なワードが出たことで介入は決定的でした。
ネット上では、介入後も155円台でピタッと下げ止まっていることから「日銀の介入は下手くそだ」といった批判も見られますが、山中氏はこれを一蹴します。
山中:当局は年単位で物事を考えています。現在の日銀(外為特会)のドルの平均取得コストは104円です。それを150円台後半で売っているわけですから、50円以上の利益が出ています。下手だなんだと言われる筋合いはありません。
ここで山中氏から、かつて為替ディーラーとして世界中の中央銀行の介入を受けてきた「超・裏話」が飛び出しました。
山中:ニューヨーク連銀(アメリカ)やドイツ連銀の介入は、銀行(市場参加者)のことを一切考えない乱暴なものでした。「介入が入ることで銀行が損しようが知ったことではない」というスタンスで、私も随分と損をさせられました(笑)。
山中氏によれば、日本の介入は非常に「律儀」だと言います。
日銀から介入の依頼(ドル売り円買いの注文)を受けた銀行が、相場の変動でコストを被った場合、日銀は「いくらで売れましたか?」と平均コストを確認し、そのコスト差額分を後から負担(補填)してくれるというのです。
最大の警戒は来週!米財務長官の緊急訪日が意味するもの



そして話題は、今後の相場を左右する「超特大イベント」へと移ります。
浜田:アメリカのベッセント財務長官が来週明けに急遽訪日し、高市総理、片山財務大臣、植田日銀総裁との会談が予定されています。どのような話がされると思われますか?
山中:中国へ行く途中にわざわざ日本へ寄るということは、それなりに強いメッセージがあるはずです。アメリカが一番懸念しているのは、「日本の長期金利の上昇が、アメリカの金利上昇まで引っ張ってしまうこと」です。
円安と金利上昇の連鎖を阻止するためにどうするか。おそらくベッセント長官は、「暗に(あるいは強烈に)6月の日銀の利上げを要請しに来る」のではないかと見ています。
先日の日銀の会合でも、ハト派(緩和継続派)を含む3名が利上げを主張し始めており、6月の利上げはほぼ間違いないだろうと山中氏は分析します。
ドル円の今後の見通し:「週末のポジション持ち越しは危険」
浜田:この先のドル円の動きはどう予測されていますか?
山中:158円が上の天井として意識されており、下がっても155円で買い支えられるため、しばらくは「155円〜158円のレンジで様子見」が続くでしょう。
山中氏、工藤氏ともに「今週末はポジションを持ったまま週をまたぐ(持ち越す)のは非常に危険だ」と強く警告し、番組は締めくくられました。
まとめ:政治と介入の波を読み解き、システムに身を任せる


2026年4月30日放送の「ファイナンシャル・ジャーニー」では、160円を突破したドル円相場のリアルな現場の混乱と、日米の政治的思惑(利上げ圧力)が交錯する今後の警戒ポイントについて、非常に濃密な解説が行われました。



「勝手な思い込みはダメ。素直に相場と向き合うこと」
工藤氏の反省の言葉が示す通り、現在の相場は「いつ・どこで・誰の介入(発言)が入るか」が全く読めない、極めてボラティリティの高い危険な状態にあります。
このような相場急変時に、人間が手動でトレードを行えば、パニックに陥り大きな損失を出しかねません。
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