マーケットは中東の地政学リスクに振り回され、日々のニュースから目が離せない状況が続いています。
しかし、投資家が直面している危機は、海を越えた遠い国の戦争やマクロ経済の波乱だけではありません。私たちの手元のスマートフォンやパソコンに忍び寄る「目に見えない脅威」もまた、かつてないほどに牙を剥いています。
2026年3月26日放送のラジオNIKKEI「ファイナンシャル・ジャーニー」では、投資家が直面する「2つの危機」をクローズアップしました。
前半は、AIの進化によって極めて巧妙化・組織化している「フィッシング詐欺」の最新手口と、証券会社が抱えるセキュリティのジレンマについて。後半は、中東情勢の悪化によって引き起こされた「原油高・ガソリン高騰」の最前線を、世界一ガソリンが高い都市・香港の異常な状況から読み解きます。
パーソナリティの浜田節子さんが、フィリップ証券マーケティング部部長の中里エリカ氏と、エコノミストの門倉貴史氏から引き出した「資産防衛」と「マクロ経済」のリアル。文字起こしだけでは伝わりきらない番組の深い考察を、投資家の皆様がスッと理解できるよう、ブログ形式でわかりやすく、圧倒的なボリュームで徹底解説します。
🎙 番組概要
番組名:投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」
放送日:2026年3月26日(木)
提供:フィリップ証券(ユアパートナー・イン・ファイナンス)
パーソナリティ:浜田 節子 氏
コメンテーター:
前半:中里 エリカ 氏(フィリップ証券株式会社 マーケティング部部長)
後半:門倉 貴史 氏(エコノミスト / BRICs経済研究所代表)

「わかる、かわる」をキーワードに、まるで世界を旅するようにマーケット全体の動向、アジア・アメリカを中心とする国際情勢、様々な金融商品の特徴まで、その日の取引に役立つ幅広い情報を、各分野の専門家が解りやすく解説します。
投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」2026.3.26放送
パーソナリティは浜田節子
コメンテーターは門倉 貴史氏(エコノミスト/BRICs経済研究所代表)、中里 エリカ氏(フィリップ証券 マーケティング部部長)

ヴェストライラン情勢の影響は?
前半テーマ:忍び寄る「AI詐欺」の恐怖。投資家を狙うフィッシングの最新手口と防衛策


番組前半は、フィリップ証券のマーケティング部部長である中里エリカ氏をスタジオにお迎えし、昨今急増している金融機関を装ったフィッシング詐欺の実態について解説していただきました。インターネット取引が当たり前となった今、セキュリティの知識は「投資の基本スキル」として不可欠なものになっています。
パーソナリティの浜田節子さん(以下、浜田)と中里エリカ氏(以下、中里)の会話を交えながら、その深刻な実態を紐解いていきましょう。
1日4,700件!爆発的に増え続ける日本のフィッシング被害
インターネットバンキングやネット証券の普及に伴い、それを狙う犯罪も爆発的に増加しています。中里氏によると、2025年には世界で100万件を超えるフィッシング攻撃が確認されており、日本国内でもその被害は深刻さを増していると言います。
浜田:最近、銀行や証券会社を名乗る怪しいメールやSMSが増えたと感じる方も多いと思います。実際の被害状況はどのようになっているのでしょうか。
中里:フィッシング対策協議会のデータを見ますと、日本国内では2025年11月単月で、過去最高となる14万3,000件以上のフィッシング報告が寄せられました。これは前月比で123%の増加であり、計算すると「1日に4,700件」というすさまじいペースで起きていることになります。
実際に、証券会社を偽装したフィッシング事件では、数十億円単位の被害事例が複数確認されているとのこと。もはや「ちょっと怪しいメールが来る」というレベルではなく、明確に投資家の大切な資産が狙い撃ちにされているのです。
シンガポールでは「鞭打ち刑」も検討? 世界を震撼させる被害規模
このフィッシング詐欺の脅威は、日本だけにとどまりません。番組では、海外で起きた衝撃的な事例も紹介されました。
中里氏が挙げたのは、数年前にシンガポールで発生した大規模な詐欺事件です。銀行を装った巧妙なメッセージによって偽サイトに誘導された結果、なんと約792人の口座から合計1,370万シンガポールドル(日本円にして約14億円超)が盗み出されるという事態が起きました。
浜田:14億円超ですか……。海外でもそれだけ深刻な事件が起きているのですね。
中里:はい。このケースでは、最終的に銀行が被害者全員に全額補償を行いました。しかし、あまりにも被害が深刻かつ悪質であるため、シンガポール政府は詐欺関連の犯罪に対する刑罰として、なんと「鞭打ち刑」の導入を検討するという話まで出たほどです。
さらに驚くべきことに、アイルランドでは「政府系投資機関」までもが標的になり、正規の支払い依頼を装った巧妙なメールによって約500万ユーロが不正送金される被害が発生しています。個人の投資家だけでなく、国家レベルのセキュリティを持つ機関ですら騙されてしまうのが、現在のフィッシング詐欺の恐ろしさなのです。



鞭打ち刑?すごいお話です!!
なぜ騙されるのか? AIが作り出す「完璧な偽物」
では、なぜこれほどまでに被害が拡大しているのでしょうか。その背景には、テクノロジーの進化、特に「AI(人工知能)の悪用」があります。
昔の迷惑メールといえば、日本語の文法がおかしかったり、レイアウトが崩れていたりと、少し注意すれば見破れるものが主流でした。
しかし現在は違います。AI技術の発展により、本物と全く見分けがつかない精巧な偽サイトが一瞬で作成され、さらにはフェイク動画や音声を駆使した「なりすまし」まで登場しています。
加えて、誘導の手口も多様化しています。従来のメールだけでなく、スマートフォンのSMS、さらには街中のポスターやチラシに印刷されたQRコードから偽サイトへ誘導されるケースも増えています。
中里氏は、現在のフィッシング詐欺が「以前のような個人による小遣い稼ぎの犯罪ではなく、高度に組織化された国際的なサイバー犯罪グループによる犯行になっている」と強く警鐘を鳴らしました。組織的な資金洗浄のネットワークが構築されているため、一度盗まれたお金を取り戻すことは極めて困難だと言います。
証券会社のジレンマ:「あえて不親切な設計」にせざるを得ない理由
こうした事態を受け、日本証券業協会や金融庁も対策を強化しています。具体的には、2つ以上の認証方法(多要素認証)の導入や、不審な取引のリアルタイム監視などが求められています。
しかし、ここで一つの大きな「ジレンマ」が生じます。それは「セキュリティを強化すればするほど、顧客にとって不便になる」という問題です。
浜田:正直なところ、私自身もサイトごとに長いパスワードを設定したり、2段階認証を使ったりしていると、久々にログインしようとした時にパスワードを忘れてしまって大変な思いをすることがあります。ロックがかかってしまい、コールセンターに連絡して書留で仮パスワードを送ってもらうなど、本当に不便だと感じてしまうことも……。
浜田さんのこの発言には、多くの投資家が深く頷くのではないでしょうか。しかし、証券会社側も苦渋の決断を迫られているのです。
中里:おっしゃる通り、お客様には大変なご不便をおかけしています。例えば以前は、キャンペーンやセミナーのご案内の際、メールマガジンに「直接申し込みができるリンク」を貼っていました。
しかし現在は、偽サイトへの誘導を防ぐため、各社ともあえて直接のリンクを貼らず、お客様ご自身で検索エンジンから公式サイトにアクセスし、そこから該当ページを探していただくようお願いしています。
これは、集客やプロモーションを行うマーケティング担当者にとっては致命的な制約です。
「あえて不親切な設計にせざるを得ないもどかしさを、私たちも大変強く感じています」と語る中里氏の言葉には、金融機関としての重い責任と苦悩が滲んでいました。



本当に、パスワード問題は困ったものですね
投資家が自衛するための「ニュースタンダード」
番組の前半の最後に、投資家が自らを守るための具体的なチェックポイントが提示されました。
もし、口座開設後に「LINE」で個人情報や入金の指示があった場合。
あるいは、聞き慣れないマイナーな通貨ペアの取引を強く勧められた場合。
便利なインターネット時代だからこそ、セキュリティへの意識を高め、「資産を守るためのスタンダード」を知ることが、投資を成功させるための第一歩となる。前半の議論は、私たちにそう強く意識させる内容でした。



資産防衛のため、意識をかえよう!
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後半テーマ:ガソリン1リットル620円の衝撃!香港から読み解く原油高とEVシフトの未来


番組後半は、海外の現地事情に詳しいエコノミストであり、BRICs経済研究所代表の門倉貴史氏をお電話でお迎えし、足元で私たちの生活を直撃している「ガソリン価格の高騰」について、マクロ経済の視点から深く掘り下げました。
今年2月末、イスラエルとアメリカがイランへの攻撃に踏み切ったことをきっかけに、イランは報復措置の一環として世界の原油輸送の要衝である「ホルムズ海峡」を事実上封鎖しました。これによる原油の供給不安から、世界各国でガソリン価格が跳ね上がっています。
日本のガソリン補助金はいつ効くのか?「タイムラグ」の正体
まず話題に上ったのは、日本のガソリン対策です。政府は価格高騰を受け、石油の民間備蓄や国家備蓄の放出を開始するとともに、ガソリン補助金制度を拡充しました。
浜田:日本でもガソリン価格が急騰し、政府が対策を打ち出していますが、この効果はどれくらいで浸透してくるのでしょうか。
門倉:政府は備蓄の放出を行っていますが、これはあくまで「原油の供給不安を解消すること」が目的であり、直接的に店頭の価格を引き下げる効果は薄いのです。価格の引き下げに直接効いてくるのは、ガソリンの補助金制度です。これにより、レギュラーガソリンの価格を1リットル当たり170円程度まで抑制しようとしています。
個別のガソリンスタンドは、すでに高い値段で仕入れた在庫を抱えています。その高い在庫がすべて売り切れて(はけて)からでないと、補助金が反映された安い価格に切り替えることができないため、どうしても1〜2週間程度のタイムラグが発生するのです。そのため、全体的に価格が落ち着きを見せるのは3月末頃になるだろうとの見通しが示されました。
世界一ガソリンが高い都市・香港。その驚きの価格とカラクリ
日本の170円という価格も十分に痛手ですが、世界を見渡すとさらに過酷な状況にある地域が存在します。それが、中国の特別行政区である「香港」です。
浜田:現在、ガソリン価格が世界で最も高い国や地域はどこなのでしょうか。
門倉:現状、圧倒的に高くなっているのが香港です。もともと香港は世界一ガソリンが高い地域として知られており、1年前の2025年春の時点でも、レギュラーガソリンが1リットル約520円でした。
浜田:520円!? それだけでも驚きですが、なぜ香港はそんなに高い水準になっているのでしょうか。
門倉氏の解説によると、香港の異常なガソリン高には大きく2つの構造的な理由があると言います。
そして現在、イラン情勢の緊迫化による原油高騰がこの構造を直撃しています。門倉氏によれば、2026年3月20日時点での香港のレギュラーガソリン店頭価格は、なんと「1リットル620円」に達しているとのこと。日本の感覚からすれば、まさに目眩がするような価格です。
市民の防衛策「北上給油現象」と、加速するEVシフト
1リットル620円という暴力的とも言える価格高騰に対し、香港市民はどのように生活を防衛しているのでしょうか。
門倉:市民の生活は相当圧迫されており、現在、香港から境界を越えて、中国本土の広東省・深圳(シンセン)までわざわざ車を走らせて給油するドライバーが急増しています。深圳のガソリン価格は香港の約3分の1程度に収まっているからです。現地ではこの傾向を「北上給油現象」と呼んでいます。
さらに、ガソリンだけでなく食品や日用品の価格も深圳の方が圧倒的に安いため、物価高騰で生活が苦しくなっている香港市民は、週末に車で深圳へ買い出しに行き、ついでに満タンにして帰ってくるというライフスタイルが定着しつつあるそうです。
そして、この異常なガソリン高は、マクロの産業構造にも大きな変化をもたらしています。それが「EV(電気自動車)化の急加速」です。
もともとガソリン代が高い香港では、乗用車のEV化が急速に進んでおり、ガソリン車の台数は減少傾向にありました。香港政府も2035年までに自家用ガソリン車やハイブリッド車の新車登録を廃止する計画を打ち出しており、電気自動車への移行を促進するための「1対1交換(古い車との交換による税制優遇)」などの措置を実施しています。今回の「1リットル620円」という歴史的なガソリン高騰は、このEV化の流れを決定的なものにし、さらに加速させる可能性が高いと門倉氏は分析しました。
原油価格の今後の見通し。解決の糸口はどこに?
番組の締めくくりとして、今後の原油の国際価格の行方について議論が交わされました。
門倉:イランは国際社会からの批判を受け、アメリカとイスラエルに協力しない国についてはホルムズ海峡の通行を認めるという方針を打ち出しています。しかし、アメリカ・イスラエルとイランの間で報復行為が繰り返されている以上、市場の供給不安が完全に払拭されることはありません。当面の間、原油価格は高止まりして推移する可能性が高いと見ています。
この状況を鎮静化させるためには、日本をはじめとする影響を受ける国々が積極的に仲介外交に乗り出し、早期の停戦と終結を図る以外に根本的な解決策はありません。
先行きが全く見通せない不透明な状況下において、投資家はエネルギー市場の動向と地政学リスクを常に天秤にかけながら、慎重な判断を下していく必要がありそうです。



上には上がいますね、でももう少し安定しもらわないと
まとめ:見えない脅威とマクロの波。二つの波乱を乗りこなすために


今回の「ファイナンシャル・ジャーニー」は、ミクロの視点である「個人のサイバーセキュリティ対策」と、マクロの視点である「中東情勢と原油高がもたらす産業構造の転換」という、一見すると全く異なる2つのテーマを取り上げました。
どれだけ素晴らしい銘柄を見つけ、完璧なタイミングで投資をして利益を出したとしても、たった一度のフィッシング詐欺で口座情報が盗まれれば、その資産は一瞬にして失われてしまいます。一方で、香港の事例が示すように、地政学リスクによるエネルギー価格の高騰は、市民生活を圧迫するだけでなく、「ガソリン車からEVへ」という産業のメガトレンドを不可逆的に推し進める原動力にもなります。
「投資がわかると意識が変わる。意識が変わると世界が変わる。」
私たちが生きているこの世界は、極めて複雑に絡み合っています。
だからこそ、常にアンテナを高く張り、正しい知識をアップデートし続けることが重要です。
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