ラジオNIKKEIで放送されている投資情報番組『ファイナンシャル・ジャーニー』。
2026年3月5日の放送では、前半に「上場企業の業績予想修正は、なぜ“すぐ出ない”のか?」という実務目線の話。後半は、富山発の美容サロン向け企業・アンダスの廣岡伸那さんが登場し、「不況でも底堅い化粧品市場」と「AIが“インフラ化”する時代の勝ち筋」を語りました。
ヴェストラ化粧品の話は、興味深いですね
🎙 番組概要
番組名:ファイナンシャル・ジャーニー
放送日時:2026年3月5日(木)8:30~8:49
放送局:ラジオNIKKEI第1
提供:フィリップ証券
パーソナリティ:浜田節子
コメンテーター:脇本 源一(フィリップ証券 取締役常務執行役員 投資銀行本部長)
廣岡 伸那(株式会社アンダス 代表取締役社長)


「わかる、かわる」をキーワードに、まるで世界を旅するようにマーケット全体の動向、アジア・アメリカを中心とする国際情勢、様々な金融商品の特徴まで、その日の取引に役立つ幅広い情報を、各分野の専門家が解りやすく解説します。
投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」2026.3.5放送
パーソナリティは浜田節子
コメンテーターは廣岡 伸那氏(and US代表取締役社長)、脇本 源一氏(フィリップ証券 取締役常務執行役員 投資銀行本部長)


今回の前半テーマ:上場企業の「業績予想修正」は、なぜ遅れがちなのか


「決算修正って、もっと早く出せるはずじゃない?」
投資家なら一度は感じたことがある“モヤモヤ”に、フィリップ証券の脇本源一さんが、ルールと現場の両方から整理を入れていきます。



✅ そもそも通期予想の開示は“義務ではない”が、ほとんどの会社は出している
脇本さんの話の出発点はここでした。
上場会社は決算短信などで通期の業績予想を発表しているけれど、実は「予想を開示すること自体」はルール上の必須ではない。
それでもほとんどの会社が出しているのは、投資家がそれを前提に売買し、マーケットの共通言語になっているから。
ここまでは“建前”としてスッと入ります。問題は次です。
✅ 「大きく乖離しそうなら、速やかに修正開示」…この“速やかに”が難しい
ルールとしては、開示した予想と実績見込みが大きくズレるなら、修正を出す必要があります。
目安として示されたのが以下。
- 売上:±10%
- 営業利益・経常利益など利益段階:±30%
売上±10%はかなり厳しめに聞こえますが、重要なのは“いつ出すか”。
脇本さんが強調したのは、修正を出すのは「確定した時」ではない、という点です。
合理的な根拠を持って「外れそうだ」と判断できた時点で、速やかに出す。
取締役会で正式に決議した、監査が終わった、そういう“最終確定”を待つ前に、見通しとして出せ――という考え方が前提になっている。
✅ でも現実は「ほぼ確定するまで出さない会社」が多い
ここからが、投資家が一番知りたい“実態”の話。
脇本さんいわく、月次で数字が見え始めていても、期末が近づいても、修正を出さない会社は珍しくない。
期末を過ぎてもすぐ出ず、決算短信のタイミング(数か月後)になってやっと開示、というケースすらある。
「それってルール違反じゃないの?」と思いがちですが、話はそう単純ではありません。
✅ カギは「合理的に判断できた時点」——この解釈が会社側で揺れる
修正を出すべきかどうかの争点は、結局ここに集約されます。
合理的に外れると判断できたのか、それとも「まだ巻き返せる」と合理的に言えたのか。
たとえば中間決算の時点で下回っている。
本来なら下方修正を出すべきに見える。
ただ会社の内部では、営業側が「下期で取り戻せる」と主張し、経営陣も“そうあってほしい”心理が働く。
その結果、「まだ早い」と判断が先延ばしになる。
逆に上回っている場合も、上方修正がすぐ出るとは限らない。
下期に何が起こるかわからない、外部環境が不安定だ、また下方修正することになったら投資家が混乱する。
だから“慎重な見通し”として、上方修正を出さずに走り切りたい、となりやすい。
このあたり、投資家にとっては歯がゆい。
でも会社側の事情としては、意外と筋が通る部分もある、という温度感で語られていました。
✅ 「何度も修正したら混乱を招く」問題と、監査・調整の現実
脇本さんがもう一段踏み込んだのが、期中の“不確定要素”です。
- 期末に臨時ボーナスなどで利益が動くことがある
- 監査法人の指導で売上や利益が変動することもある
- じゃあ期中で修正を出すとして、いくらで出すのが合理的なのか難しい
- 修正してもまたズレるなら、何度も修正するのか?それは投資家を混乱させないか?
結果として「ギリギリまで出さない」という行動が“実務上の最適解”になってしまう。
つまり会社は、「合理的に見積もれない(見積もりきれない)」という主張に寄っていく。
✅ 中東情勢・原油価格の変動局面では、なおさら修正は出にくい
ここで浜田さんが投げたのが、まさに“足元の不安定要因”の話。
中東地域の紛争などで原油が動くと、コストや需要に影響する企業が出てくる。
では、そうした局面で業績予想の修正は早く出てくるのか?
脇本さんの見立ては、むしろ逆。
原油価格が当面不安定なら、「じゃあ具体的にいくらに直すの?」が決められない。
投資家は“減益になりそう”と想像しても、会社からタイムリーに数字は出てこない可能性が高い。
✅ 投資家はどう動く?答えはシンプルで、厳しい
「会社が出さないなら、投資家はどう考えればいい?」
この問いに対して脇本さんの答えは、かなりはっきりしていました。
結局、投資家自身で測るしかない。
- 原油価格の変動が過去にあった時、その会社の業績はどう動いたか
- 株価はどう反応し、あとで戻ったのか、戻らなかったのか
- “原油ニュースで売られるけど実は影響が薄い会社”もあり得る
- 四半期ごとの進捗を前年などと比べ、通期の着地を自分で推測する
修正開示が遅れがち、という“構造”を知ったうえで、自分で情報収集と分析を深める。
不安定な局面ほど、分析できる投資家にチャンスが寄る――そんな締め方でした。



イランの戦争の影響は?
🎯 前半パートからの投資のヒント:決算修正“待ち”は危険。見るべきは「感応度」と「進捗」


この回を投資行動に落とすなら、ポイントは3つです。
1)修正開示は「出たら材料」ではなく「出ない前提」で組み立てる
修正が遅れるのは、怠慢というより“構造”。
だから「そのうち会社が出してくれる」は期待しすぎになりやすい。
2)原油・為替・市況の“感応度”を自分の手元で持っておく
影響が大きいと思い込んで売買してしまい、実は業績にそこまで効かない、というケースが一番もったいない。
「過去の局面で何が起きたか」を自分のデータとして持つほど、ブレが減ります。
3)四半期の進捗は“会社の言葉”より強い
会社の見通しが慎重になるのは自然。
だからこそ、四半期ごとの積み上げ、前年対比、季節性のズレを見て、投資家側で「この進捗なら上/下」を組み立てる。
今回の脇本さんの話は、まさにこの姿勢を後押しする内容でした。
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今回の後半テーマ:不況でも安定、好況でも成長——化粧品業界とAI“インフラ化”の勝ち筋


後半は、株式会社アンダス代表取締役社長の廣岡伸那さんが登場。
美容サロン向け化粧品と、美容サロン従事者向けの教育・コンサルティング事業を国内外で展開する立場から、化粧品市場の見え方を語りました。



✅ 国内の化粧品市場は「人口減=縮小」ではない
最初に示された現状整理が明快でした。
- 国内は回復基調で底堅い
- ただし大手は中国市場の苦戦が重荷で、明暗が分かれている
- 国内は人口減少トレンドでも、化粧品を使う年齢層が広がっている
- 若年からスキンケア・日焼け止めが習慣化し、年齢が高い層も楽しむ
- 男性にも同様の現象が起きている
つまり「人口が減ってるから市場も縮む」という単純な図式では捉えないほうがいい、という話です。
“使う人が増える・使い方が広がる”ことで、国内は堅調になり得る。
✅ 中国市場は、コロナ禍以降に国内製造技術が進歩し、構造変化が進んだ
一方の中国。
廣岡さんは、2020年以降の動きとして、中国国内で化粧品製造技術が進歩し、国内シェアを取り戻している流れに言及しました。
2025年の大手企業の業績を見ると、このトレンドが“紛れもない”と感じる、と。
投資目線で言い換えるなら、海外比率が高い企業ほど、地域別の構造変化が業績に効きやすい。
「中国=成長」だった前提が揺れている、という示唆にもなります。
✅ 化粧品は“景気に強い”だけではない:男女ともに生活に定着し始めた
化粧品は不況で大打撃を受けにくく、好況で高級品が伸びやすい——従来のイメージに加えて、
今は女性だけでなく男性にも形を変えて定着し始めている、という指摘がありました。
つまり、「景気循環の話」だけでなく「生活文化としての定着」が進むことで、底堅さが増している。
この見方は、セクター理解を一段アップデートしてくれます。
✅ AIは“材料”ではなく“インフラ”へ:化粧品業界の伸びしろの見え方が変わる


浜田さんが投げた「AI活用でも成長余地は?」に対し、廣岡さんの回答はかなり今っぽい温度でした。
✅ 肌診断×カウンセリング×パーソナライズが、じわじわ来ている
大手だけでなく、中小ベンチャーが手がけるAIの肌診断、カウンセリング、パーソナライズ商品。
こうした動きが少しずつ注目されている、という話。
ただし、ここで面白いのが次の一言です。
✅ 「AIを使えば注目される」時代は、もう遅い
廣岡さんは、2月の米国大手の機能アップデートが連日のように発表され、株価が上下したという空気感に触れつつ、
AIは特殊技能ではなくインフラになる方向で2026年に入った、と実感している、と語りました。
だから、AIは“看板に書けば評価される素材”ではなく、
社内に吸収して当たり前、外部サービスにもサクサク使う当たり前。
その前提で「人しかできない価値にAIを掛け合わせる」ことが、イノベーションのヒントになる。
このあたりは、美容サロンという“対面価値”の強い領域だからこそ、説得力が出る話でした。
海外展開のリアル:東南アジアは人口ボーナスだけで判断すると危ない


海外の話は、期待論ではなく「解釈を間違うと戦術を間違える」という前置きが入ったのが印象的でした。
✅ 東南アジア=人口が多い=化粧品が伸びる、は短絡
人口ボーナスが直結しやすいのは、オムツやおしり拭き、歯磨きセットなど“消費財”。
一方で日本の化粧品は、まだ贅沢品である側面がある。
だから富裕層マーケットは狙えるが、国全体の伸びとして見るなら「文化レベル」との紐づきが重要になる、と。
✅ 都市部の“生活の余裕”が見えると、美容の広がりも見える
視察の例として出てきたのが、都市部にペットショップやトリミングサロンがある、といった観察。
出生率が落ち着き、共働きで所得が増え、子どもが少なめになり、習い事やペットなど“生活の余裕”が出る。
そうなると、美容サロンや化粧品を定期的に楽しむ層が広がる、という見立てでした。
ベトナムと台湾:同じ“海外”でも、伸び方の質が違う


✅ ベトナム:政策・IT人材・地下鉄——所得と文化のギャップが埋まり始めている
廣岡さんのベトナム評は、「勢いがある」だけではなく、政策の話が具体的でした。
さらに地下鉄が走り出したという変化もあり、所得レベルが文化レベルに追いつきつつある。
結果として、美容サロン市場も化粧品も“もっと身近になる”トレンドが来るのでは、という見立てです。
✅ 台湾:人口減でも、AI半導体の成長が所得増とインフレを連れてくる
台湾は少子高齢化で日本と似た人口トレンド。
それでも、AI半導体の成長に紐づく所得増加とインフレの波が来ている、という指摘がありました。
象徴的だったのが価格帯のエピソード。
2018年には高いと言われた商品が、2025年には値上げしていないのに「いい価格帯」と受け止められるようになった。



化粧品という切り口だけでも、いろいろな視点があります!
🎯 後半パートからの投資のヒント:化粧品セクターは「需要の層の拡大」と「地域構造」で見る
今回の後半は、銘柄名を挙げなくても“見方”が手に入る回でした。
1)国内は「人口」ではなく「使用層の拡大」を追う
若年化・高年齢化・男性化。
化粧品は“ユーザーの裾野が広がる”ことで底堅さが増す、という整理は強い。
2)中国は「回復待ち」より「構造変化の影響」を疑う
コロナ禍以降の技術進歩と国内シェア回復。
中国比率が高い企業ほど、前提が変わるリスクを織り込んで見たくなる材料でした。
3)AIは“導入したか”より“体験価値に落ちているか”
AIを掲げるだけでは遅い。
社内にインフラとして吸収し、対面価値に掛け合わせ、顧客体験を上げられるか。
この観点は、化粧品に限らず「伝統産業×AI」全般に横展開できます。
まとめ:修正開示の“遅さ”を理解し、情報の取りに行く投資家が勝つ


今回の放送を一言でまとめるなら、前半は「開示を待つな」、後半は「成長は“インフラ化”の先にある」です。
- 業績予想修正は、ルールがあっても実務上はギリギリまで出にくい
- 不安定局面ほど、投資家自身が感応度・過去事例・進捗で測る必要がある
- 化粧品市場は人口減でも底堅く、ユーザー層の拡大が続いている
- AIは材料ではなくインフラ。人の価値に掛け合わせた企業が抜きん出る
- 海外は人口だけで判断せず、所得・文化・産業構造で見る
そして、番組内でも触れられた通り、フィリップ証券は対面営業・オンライン法人営業・上場支援など、投資家・法人それぞれに合わせた提案を掲げています。
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