ラジオNIKKEI「ファイナンシャル・ジャーニー」2026年2月5日放送は、政治日程とマーケットが交差するタイミングで、「高市トレード」と呼ばれる政策期待をどう相場に落とし込むかを丁寧に解きほぐした回でした。
前半は笹木和弘さん(フィリップ証券 リサーチ部長)が“高圧経済”というキーワードで、株・為替・金利が同時に動く局面の見取り図を描きます。
後半は山中康司さん(アセンダント取締役)が、為替の現場目線で「相場の見張り方」を整え、ニュースに振り回されない観測の順番を提示。投資が「当てもの」ではなく「理解して備えるもの」に変わっていく、番組タイトル通りの内容でした。
🎙 番組概要
番組名:ファイナンシャル・ジャーニー
放送局:ラジオNIKKEI第1
放送日時:毎週木曜日 8:30~8:49
提供:フィリップ証券
パーソナリティ:浜田節子
コメンテーター:山中康司(アセンダント取締役)、笹木和弘(フィリップ証券 リサーチ部長)

「わかる、かわる」をキーワードに、まるで世界を旅するようにマーケット全体の動向、アジア・アメリカを中心とする国際情勢、様々な金融商品の特徴まで、その日の取引に役立つ幅広い情報を、各分野の専門家が解りやすく解説します。
投資がわかると意識がかわる!「ファイナンシャル・ジャーニー」2026.2.5放送
パーソナリティは浜田節子
コメンテーターは山中 康司氏(アセンダント取締役)、笹木 和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

今回の放送テーマ:総選挙後に市場は何を見る?「高市トレード」の正体

ここからスタジオでマーケットを解説するのが、笹木和弘さん(フィリップ証券 リサーチ部長)と、山中康司さん(アセンダント取締役)。
浜田節子さんは、前回の放送で笹木さんが語った「尻下がりの相場格言」に触れながら、話題を“今週の現実”へつなげます。
新年最初の出演回では、「日本株が尻上がりになるための強い材料」として政治日程を挙げていた。そして情勢が動き、いよいよ週末に総選挙の投開票がある——という流れです。
浜田節子:
「ここまでの情勢調査では、与党が優勢という見方が強まっているようですが、総選挙後に高市政権の経済政策が実行された場合、市場を見るうえでどんな点に注目したらいいでしょうか?」
「高市トレード」。ただ、言葉だけが先行しがちなテーマを、笹木さんは一段整理してから本題に入ります。
笹木和弘:
「高市政権の経済政策、成長戦略は市場関係者の間では“高市トレード”と呼ばれていますけども、基本的な考え方としては“高圧経済”という言葉に集約されると思います」
ヴェストラ高圧経済とは???
高圧経済とは何か:積極政策で需要超過をつくり、成長を押し上げる


“高圧”の意味は、景気を押し上げて雇用と投資を動かすこと
笹木さんの説明は、難しい言葉を「何が起きるか」に翻訳していくスタイルです。
そして雇用の最大化、設備投資の促進を通じて、賃金と生産性を押し上げ、持続的な成長を目指す考え方。
笹木和弘:
「積極的な金融財政政策で意図的に需要超過の加熱状態を作り出し、雇用の最大化や設備投資の促進を通じて賃金生産性の向上と持続的な経済成長を目指す考え方です」
浜田節子さんは相槌を入れつつ、すぐに次の論点に橋をかけます。
積極策で成長を狙うなら、市場は明るくなる。ただ、その分“副作用”もあるのでは?という流れです。
高圧経済の副作用:インフレ加速→金利上昇→円安圧力
笹木さんはそこを先回りします。
笹木和弘:
「需要が供給を上回ればインフレが加速するということで、その副作用として金利上昇と為替の円安への圧力が残り続けることが挙げられます」
そして、番組の核となる“相場の組み合わせ”が提示されます。
市場の基本シナリオ:「株高・円安・債券安」の三位一体
高圧経済の成長期待とインフレ懸念が混ざると、金融市場は株高、円安、債券安(長期金利上昇)という組み合わせになりやすい。
笹木和弘:
「金融市場は株高、円安、債券安、この三位一体の組み合わせが主流になると考えられます」
浜田節子さんは、投資家が一番気になる一点に切り込みます。
円安で企業利益が増え、株高になりやすいのはイメージしやすい。だが金利が上がって債券が売られても、株高は続くのか?という問いです。
浜田節子:
「金利が上昇して債券が売られても株高は続くものなんでしょうか?」



そこが気になります!!
金利上昇は逆風。それでも株高が続く条件は「成長と利益で吸収できるか」
笹木さんは、金利上昇が企業にとってマイナスに働く点を押さえます。
利払い費用の増加などで収益を圧迫しやすい。ここは一般論として避けない。
そのうえで、結論を“勝負の一点”に絞ります。
笹木和弘:
つまり、金利上昇=株安と決めつけない。
ただし株高が続くなら、その根拠として「利益が増える」道筋が必要で、市場はそこを織り込む。
この回の話は、まさに“相場が何を信じているか”を言語化していく構成です。
日本株は過去事例が少ない:だから平成バブルまでさかのぼる


バブル崩壊後の失われた時代、そしてゼロ金利・マイナス金利の時代が長く続いたため、「円安かつ債券安(長期金利上昇)で株高」という事例が近年以外では見当たりにくい。
笹木和弘:
「最近を除いては、この円安かつ債券安、長金利上昇で株高だった過去の事例はなかなか見当たらないんですね」
だからこそ、例外の時期として参照するのが、1988年後半〜1989年末の平成バブル期。
この“かなり昔の事例”を丁寧にたどることで、今の相場観にヒントを取りに行くのが前半の山場になります。



バブル期まで、タイムスリップ?!
平成バブル期にあった“短い窓”:1988年11月〜1989年12月末
プラザ合意後の円高不況と、日銀の利下げ
笹木さんは背景を時系列で語ります。
その中で日銀は当時の政策金利(公定歩合)を断続的に引き下げ、1987年2月までに複数回の利下げを実施。
その後、2.5%の低金利が続いた。
ここまでを踏まえると、「低金利環境が続く中で資産価格が膨らんだ」というバブルの土台が見えてきます。
1989年5月に引き締めへ転換。だが“債券はその前から動いていた”
次に日銀が引き締めへ転じる。
1989年5月に利上げを開始し、1989年10月、12月と段階的に利上げが進んだ。
笹木さんは特に1989年12月の利上げを「クリスマスショック」として触れ、0.5ポイントの利上げが象徴的だったと語ります。
そして重要なのはここです。
日銀の利上げ開始は1989年5月だが、10年国債利回りの上昇や債券先物価格の下落といった動きは、1988年11月頃からすでに始まっていた。
株が強い最中でも、債券側が先に変調することがある。
この“順番”が、笹木さんの話の肝になります。
結論:株高・円安・債券安が同時に成立したのは「短い期間」
笹木さんは、同時進行がずっと続いたわけではない、と区切ります。
日本株が株高で、かつ円安、債券安、長期金利上昇だったのは、1988年11月から1989年12月末までの期間にとどまった。
つまり、勢いが出る局面でも、どこかで窓は閉じる。
その前触れが株ではなく債券に出る可能性がある。
今の相場を読むうえでの“見張りどころ”が、ここで一気に具体化します。
ここで番組は一旦ブレイク:フィリップ証券の案内


株式・債券など幅広い金融商品を扱う総合証券として、マーケット情報の提供や投資相談の体制が紹介される流れです。
今回の放送のように、株だけでなく為替・金利まで絡む局面では、情報整理の“型”があるかどうかで投資判断の迷い方が変わります。
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後半テーマ:山中康司さんが語る「為替と金利の見方」――相場は“順番”で迷わなくなる


笹木さんが描いた“政策と市場の地図”を受けて、山中さんはより現場の視点で「相場はどこから見ればいいか」を整えます。
山中さんのスタンスは、当てることより、振り回されないこと。
為替は金利差で説明できる局面が多い一方、政策期待やイベント前後は、リスク心理やポジション調整が混ざって動き方が変わる。だからこそ、見る順番を作る。
山中さんが示した「チェックの順番」
・まず米金利の方向を見る
・次に日本の金利の変化を見る
・最後にリスク心理(イベント前後の巻き戻し)を見る
イベントが近いほど、「理由」より「反応」を確認する。
何に反応したのか(為替が先か、金利が先か、株が先か)。
この順番を守るだけで、ニュースのノイズが減り、相場の見え方が整ってくる——後半はその実務感が中心になります。
投資のヒント:今回の放送を“自分の型”にするポイント
今回の回を通して、投資家が持ち帰れるのは次の3点です。
1)「株高・円安・債券安」をセットで追う
株だけを見て安心しない。
円安が進んでいるなら、金利も動いているかもしれない。
債券側の変調が先に出る可能性がある、という前半の話が効いてきます。
2)金利上昇を恐れすぎず、「吸収できているか」を見る
金利上昇は逆風だが、成長と利益が上回るなら相場は続く。
その“上回っている根拠”がどこに出るかを見に行く、という姿勢に切り替わります。
3)イベント前後は、ニュースより「反応」を確認する
山中さんの後半テーマはここ。
理由探しで迷うより、何が先に動いたかを確認する。
相場の見方がシンプルになり、判断がぶれにくくなる。
まとめ:放送内容の要点整理と次のチェックポイント
- 総選挙後の市場を読むキーワードとして「高圧経済(高市トレード)」が提示された
- 高圧経済は需要を強め、雇用・投資を促し、賃金と生産性の上昇を狙う発想
- 副作用としてインフレ懸念が強まり、金利上昇と円安圧力が残りやすい
- 市場の基本シナリオは「株高・円安・債券安(長期金利上昇)」の三位一体
- 金利上昇でも株高が続くかは、成長と利益で逆風を吸収できるかが焦点
- 平成バブル期には同時進行が成立した“短い窓”(1988年11月〜1989年12月末)があった
- 後半は山中康司さんが、米金利→日本金利→リスク心理という「見る順番」を提示した
- 債券(長期金利)の変化が株より先に出ていないか
- 円安が進む局面で、イベント前後の巻き戻しが急になっていないか
- 株・為替・金利をセットで追えているか(視点が一つに偏っていないか)
相場のテーマが大きく動く局面ほど、情報整理の型が投資判断の精度を左右します。
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