今週のファイナンシャル・ジャーニー(2025年11月6日放送)— 有価証券報告書「提出遅延」を投資家はどう読むか|ニデック事例と監査の限界から学ぶ実践チェックリスト


投資情報番組「ファイナンシャル・ジャーニー」。

今週は、上場企業の信頼性を左右する「有価証券報告書(有報)」の提出遅延をテーマに深掘りしました。

前半は フィリップ証券 取締役常務執行役員 投資銀行本部長の 脇本 源一(わきもと げんいち)さん、後半は フェイス監査法人 IPO事業部 事業部長/パートナー・公認会計士の 枝川 哲也(えだがわ てつや)さん をゲストに迎え、

進行はおなじみ 浜田 節子 さん。ニデック(Nidec)などの実例を交えつつ、不正会計・人員不足・M&Aによる統制の空白など、提出遅延の真因に迫りました。


🎙 番組概要

番組名:ファイナンシャル・ジャーニー
放送日時:毎週木曜日 8:30〜8:49(ラジオNIKKEI第1)
提供:フィリップ証券
パーソナリティ:浜田 節子
コメンテーター:
 — 脇本 源一(フィリップ証券 取締役常務執行役員/投資銀行本部長)
 — 枝川 哲也(フェイス監査法人 IPO事業部 事業部長/パートナー/公認会計士)


目次

今回のテーマ:有価証券報告書「提出遅延」をめぐる真実

「ファイナンシャル・ジャーニー。このコーナーは“分かる、変わる”のフィリップ証券の提供でお送りします。ユアパートナー・イン・ファイナンス。」

番組冒頭、浜田さんが紹介します。

「今回は“有価証券報告書の提出遅延”がテーマ。前半は脇本さんに、背景と株式市場への影響を。後半は監査法人の立場から、枝川さんに原因分析を伺います。」


有報「提出遅延」とは何か

脇本さん:「上場企業は決算期末から90日以内に監査法人の報告書を受領し、有価証券報告書(有報)を提出する必要があります。間に合わない場合、“整理銘柄指定”を経て上場廃止となる可能性があります。

ただし、金融庁が“やむを得ない事情”と認めた場合は、提出期限の延長が認められるケースもあります。」


会話の臨場感:遅延の“本当の理由”はどこに?

浜田:「遅延というと“不正会計”が真っ先に思い浮かびますが、実際のところは?」

脇本:「確かに、不正会計が原因となる事例は多いです。特に上場会社の“海外子会社”での不適切会計がきっかけになるケースが増えています。

一方で、最近では“人員不足”も深刻です。グロース市場の中小企業では、経理や管理部門が少人数で、退職者が出たり、M&Aで急に子会社が増えたりすると、決算対応が追いつかなくなってしまうのです。」

浜田:「人手不足で有報が間に合わないなんて、驚きですね。」

脇本:「上場時点では審査で“人が抜けても回る体制か”を確認しますが、それはあくまで“上場時”の話。

その後、会社が拡大しても管理部門の強化が追いつかないケースが多く、これは開示情報から見えにくいリスクなんです。」


M&Aが生む“統制の空白”

脇本:「近年はM&Aが成長戦略の柱ですが、買収される会社は未上場の中小企業が多く、内部統制が十分でない場合が多いです。

そうした会社が“翌日から上場グループ入り”となり、いきなり上場会社水準の監査対応を求められても現実的に無理があります。

特に海外子会社では本社の目が届きにくく、不正が発生しやすいと言われています。」


株価への影響:ニデックの例

脇本:「ニデックでは、有報提出が数か月遅れたうえに監査委員会が“意見不表明”を出し、第三者委員会の設置を発表した直後に株価が前日比20%超下落しました。

遅延=即・上場廃止ではありませんが、投資家心理への影響は非常に大きいです。」

浜田:「投資家は何を見て判断すれば良いのでしょう?」

脇本:「重要なのは“遅延の理由”と“その後の対応”。第三者委員会の構成、調査範囲、訂正報の内容、IR姿勢を総合的に見て判断する必要があります。」


投資家のためのチェックリスト(前半まとめ)

提出遅延を見たら確認すべき5つのポイント

  1. 遅延理由の明確さ(不正か実務遅延か)
  2. 調査のスピードと透明性(第三者委員会・報告期限)
  3. 連結構造の変化(M&A・海外子会社比率)
  4. IR情報の更新頻度と誠実さ
  5. 内部統制の再構築計画

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後半テーマ:監査法人の“限界”と見抜き方

ゲスト:フェイス監査法人 IPO事業部 事業部長/パートナー 公認会計士 枝川 哲也

浜田:「ここからは監査法人の立場から伺います。枝川さん、なぜ監査法人が不正会計を見抜けないことがあるのでしょうか?」

枝川:「主な理由は三つあります。①監査の限界、②海外子会社の統制難、③監査の長期継続による手口の多様化です。」


① 監査の限界

枝川:「監査は“リスクアプローチ”に基づき、全取引を直接検証するわけではありません。

たとえばニデックには342社の連結子会社があり、監査チームが100名体制でも全社を直接見るのは現実的ではない。

金額的・質的に重要な子会社を重点的に監査します。」

浜田:「全社確認できないとなると、不正が潜むリスクもあるということですね。」

枝川:「はい。重要度が低い子会社ではデータ分析で監視するものの、限界はあります。監査は“すべてを保証する”ものではなく、一定のリスクを前提に設計されています。」


② 海外子会社の統制難

枝川:「海外子会社は小規模で地理的・言語的な壁があり、親会社の統制が効きにくい。

たとえばニデックのイタリア子会社は連結売上の1%未満でしたが、最初に問題が見つかったのはそこでした。

規模が小さくてもリスクは存在します。」


③ 長期監査の副作用

枝川:「長期間同じ監査法人が担当すると、会社理解は深まりますが“新しい視点”が失われやすい。

結果として会社側が“監査の手の内”を理解し、監査をすり抜ける不正の手口を編み出すこともあります。」


投資家は何を見ればよいのか?

枝川:「不正発覚=即・上場廃止ではありません。

第三者委員会の調査結果、経営の責任明確化、訂正報の内容、そしてIR姿勢。

会社が“誠実に、迅速に”対応しているかを時系列で見てください。

監査法人も職業的懐疑心を高め、投資家保護に努めています。」


投資家の実践ポイント(後半まとめ)

  1. 初報の型を確認:遅延理由/延長申請の根拠/第三者委員会の構成
  2. 対応速度を採点:報告書提出までの週次変化、IR更新の誠実さ
  3. 再発防止策を検証:内部統制の再構築、取締役会の機能、監査法人の交代履歴

まとめ:提出遅延を“線”で読む投資姿勢を

浜田:「有報の提出遅延は企業の通信簿が出せない状態。理由と対応を冷静に見極める目が必要ですね。」

脇本:「はい。重要なのは“何が起き、どう対応したか”。そのプロセスを見ることです。」

枝川:「我々監査法人も不断の改善を続けます。投資家の皆さんには、点ではなく線で見てほしいですね。」


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